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思い出の曲


時々聞きたくなる曲があります。

アルトサクソフォンの「クレストンのサックスソナタ」です。

 

この曲には、かなり思い入れが有ります。

まだひよっ子だった大学時代、友人の伴奏として頼まれた曲です。

しかし、すぐに引き受けた事を後悔することになります。

 

何故ならこの曲伴奏者泣かせとして有名なのです。(上の楽譜がそれです)

人によってはサックスよりピアノが難しいという人まで、そして演奏前に伴奏者が逃げ出したという逸話まであります。

 

一言で言えば\(^o^)/お手上げ!

レッスンでは大きな声で何度も怒鳴られる始末。

伴奏譜が渡されてレッスンまで時間が無く、楽譜を見た時に血の気が引いた思い出があります。

 

大学の実技試験は本科であるピアノ、副科、必修の声楽、基本3つあります。

 

ピアノ科は伴奏を無償でするのが当たり前なので、更に増えます。場合によっては3~4曲。勿論それだけではなく、筆記試験もありました。

 

当時は、ピアノの能力が他の人に比べて高くなく人の倍時間がかかり、兎に角時間が足りませんでした。毎日早朝から閉館の夜9時まで一人楽譜とにらめっこ。入試の面接で「一人に耐えられますか?」と質問された事を思い出しながら練習をしました。

 

努力も虚しく、とうとう自分の演奏曲を諦める事になりました。

時間的にも精神的にもその時はいっぱいいっぱいだったんですね。

 

ピアノの試験で演奏予定だった曲は「ラヴェルのスカルボ」。試験ギリギリに先生に泣きながら「無理です」と電話しました。伴奏ではなく本科を逃げたのは引き受けたプライドみたいなのがあったのかと思います。

 

この時とても悔しかったけれど、その悔しさがあってこその今があります。先生は優しく新しい曲を一緒に決めて下さいました。その時決まった曲が「ハチャトゥリアンのトッカータ」この曲の影響力は凄く、卒業後ハチャトゥリアンのピアノ曲は殆ど練習しました。良い曲に巡り会えて良かったなあと思います。

 

このような経験もあり、時々聞きたくなる中毒性の高い曲と自分の中でなりました。